台湾の旧正月(春節)は、家族や友人と新年を祝う台湾最大の伝統行事です。

初一から初七まで、それぞれの日に特有の行事や過ごし方があり、食事や風習、準備にも深い意味が込められています。

この記事では、旧正月の過ごし方や、風習、定番料理、タブーについて詳しく紹介します。

留学中に台湾人の友人の家で旧正月を過ごすことになった際など、ぜひ参考にしてみてください。

春節とは?台湾の旧正月の基本情報

春節(旧正月)は、旧暦に基づいて毎年日程が変わり、通常1月下旬から2月中旬の間に行われます。

この期間は家族が集まり、新年を迎える準備や祝賀行事が行われる台湾最大の伝統行事です。

春節の起源は中国の農耕文化にあり、台湾では中国本土と似た文化を持ちながらも、独自の慣習が発展しています。

春節は「除夕(大晦日)」からスタートし、元旦にあたる「初一」から7日間続きます。

 

2025年は1/28〜2/4まで|旧正月中の過ごし方

台湾の春節は、除夕(旧暦の大晦日)から初七(旧暦7日目)まで、日ごとにそれぞれ異なる行事や風習が行われます。

ここでは、それぞれの日に行われる行事を紹介します。

除夕
初一
初二
初三
初四
初五
初六
初七
日付
1/28
1/29
1/30
1/31
2/1
2/2
2/3
2/4
歴史的意義
春節の大晦日にあたる日で、家族が集まる最も重要な日
旧暦の元旦にあたり、家族との団らんがメインとなる日
嫁いだ娘が実家を訪れる日
外出を控える日
財神(富の神)を迎える日
「破五」と呼ばれ、商売を再開する日
普段の生活に戻り始める日
「人日」と呼ばれ、人類の誕生日にあたる日
慣習
年夜飯(大晦日の夕食)を家族全員で囲み、祖先に祈りを捧げます。また、「守歳」と呼ばれる習慣で夜更かしし、新年の到来を待ちます。深夜0時には爆竹を鳴らして新年を祝います。
家族と縁起の良い食事を楽しみます。この日は訪問客を招かないのが一般的で、静かに過ごします。
親戚や友人を訪問し、紅包(お年玉)を交換したり、新年の挨拶をします。この日は家庭ごとに賑やかな再会が行われます。
家族でゆっくり過ごす日す。カードゲームや麻雀など、家の中で楽しむ活動が一般的です。
家庭や店舗では、財神を歓迎する儀式が行われます。また、商売繁盛を祈るために特別な祈願が行われることもあります。
縁起を担いで餃子を食べることが多いです。この日から多くの店舗が営業を再開し、街に活気が戻り始めます。
家庭では掃除を再開し、春節の飾りを片付ける準備をします。日常生活への切り替えが始まります。
家庭では長寿を願い、麺料理を食べることが多いです。また、この日を象徴する行事やお祝いが行われる場合もあります。

台湾の旧正月で行われる風習とは?

春節には台湾独自の風習が数多くあります。

  • 紅包(お年玉): 親や上司、友人から縁起を担いで渡されるお金のことです。親からお年玉をもらえるのは一般的に大学を卒業するまでで、就職後は逆に親にお年玉を渡す風習があります。

  • 拜拜(お参り): 家庭や寺院で先祖や神々にお供え物を捧げ、感謝と新年の平穏を祈ります。

春節の定番料理とその意味

年夜菜と呼ばれる年越し料理には以下のようなものがあり、それぞれ食事にも多くの縁起が込められています。

水餃子

昔のお金「元寶」に似ていることから財運を上げるために食べられている。

蘿蔔糕
(大根餅)

台湾語で大根を「菜頭(ツァイタウ)」といい、良い兆しという意味の中国語「彩頭(ツァイトウ)」と発音が似ていることから開運食材とされている。

魚料理

「年年有餘(お金や物が余るほどたくさんある)」という四字熟語になぞらえて食べられる。「中国語」で「餘」の発音が「魚」と似ているため「年年有魚」と書かれることもある。

長年菜
(葉物野菜)

からし菜やほうれん草をなるべく切らずに調理し、噛み切らずに食べることで長寿を願う。

調理方法の決まりはないため、各家庭によって炒めたり、煮物にしたりして食べる。

鶏肉料理

台湾語で「雞(ゲー)」の発音が同じく台湾語で巣立つという意味の「起家(キーゲー)」と似ていることから子供たちが無事に大きくなりますようにという願いをこめて食べられる。

發糕
(蒸しパン)

「發財(お金持ち)」という意味の「發」が「發糕」にも使われていることからお金が貯まる一年になるようにという願いがこめられている。

年糕
(おもち)

読み方が「年高(ニェンガオ)」と似ていることから、良い年になることを祈って食べられている。

鳳梨
(パイナップル)

台湾語の「旺來(オンライ)」には「繁盛が来る」という意味があり、縁起の良い食べ物とされている。

正月の他に初詣や会社が設立したとき、結婚式などでも食べられる。

みかん

金運アップのために食べられる。

春節を迎える準備:大掃除と装飾

春節を迎える準備は、家庭や商売にとって重要な行事です。

  • 大掃除: 新年を清らかな状態で迎えるため、家全体を徹底的に掃除します。これを「除旧迎新」と呼びます。日本の大晦日の掃除と同じ風習です。
  • 赤い装飾: 家には縁起の良い赤い装飾が施され、邪気を払うとされる春聯(赤い紙に書かれた言葉)が玄関に貼られます。
  • 爆竹: 悪霊を追い払い、賑やかな音で新年の喜びを表現します。

旧正月のタブー

台湾の旧正月(春節)には、タブーと呼ばれる行動がいくつかあります。

現代では気にしない方も多いですが、年配の方や風習を守っているご家族もいるので知識として覚えておきましょう。

初一(旧暦1日目)は髪を洗わない

髪を洗うことが「財運を洗い流す」行為と考えられているため、縁起を担いで避ける人が多いです。

「髪(髮)」の発音が「発財(財を得る)」の「発」と似ていることから、髪を洗うことで運気や財運が失われると信じられています。

水を使う行為に慎重になる

春節期間中は水を多く使うことや、ゴミを捨てる行為も慎まれる傾向があります。

これらも同様に、運や富を「流してしまう」ことを避けるためです。そのため、大晦日までに不要なゴミを処分しておきます。

その他のタブー

初一から初三にかけては、刃物を使うことや掃除も避けることが一般的です。

刃物で切ることが、縁を切ることを暗示し、掃除が運気を払うと考えられています。

まとめ

台湾の春節は、古くから続く伝統文化が色濃く残る行事で、現代の台湾人も非常に大切にしている祝日です。台湾に住んでいる方や台湾文化に興味のある方は、ぜひ春節を知り、体験してみてくださいね。