新卒採用では有利とは言えない
台湾留学は、日本国内の新卒採用において必ずしも有利に働くとは限りません。外資系企業であれば留学経験や語学力が評価される可能性もありますが、こうした企業は経歴を重視する傾向が強く、新卒採用を積極的に行うところは多くありません。そのため、新卒で就職を目指す場合は、日本に本社を置く企業に応募するケースが中心になるでしょう。
日系企業の新卒採用では、学歴を含むエントリーシートの内容やSPI試験の結果をもとに選考が進みます。一般的に台湾の大学は日本での知名度が高いとは言えず、中には台湾と中国の違いすら理解していない人も少なくありません。
また、台湾の公用語は中国語(台湾華語)であり、英語も学べる環境ではありますが、英語圏留学と比べると英語力で劣る場合が多いのも現状です。そのため、日本の就職市場で大きなアドバンテージとなる「英語力」で競争するのは難しいでしょう。
長期的にみればキャリアの強みになる
前述のように、新卒採用の場面では台湾留学が直接的に有利に働くとは限りません。しかし、長期的なキャリア形成を考えると、台湾留学で得た経験は確実に強みになります。
仮に卒業後すぐに第一希望の企業から内定が得られなかったとしても、中小企業や関連業界で数年の実務経験を積むことによって、語学力と経験を活かし、新卒時には難しかった大企業への転職チャンスが広がります。
さらに、2〜3年ほどの職務経験があれば、日本国内に拠点を置く多くの外資系企業への応募も現実的になります。
結果として、台湾留学を経験しなかった人と比べると、中国語(台湾華語)に加えて実践的な英語力を兼ね備えられる可能性が高く、就職のみならず将来的なビジネスチャンスにおいても優位に立てるでしょう。
実際に台湾留学をした人の進路(実例)
台湾留学を経験した5人の方に、現在のキャリアについてお話を伺いました。
その中から一部のケースをご紹介します。

Aさん(正規留学・日本で就職)
台湾への留学期間 4年(正規留学)
現在の職種 マーケティング職[1]
業界 旅行・インターネットサービス業
年齢 30歳 女性
現在の年収 420万円
私は日本の専門学校を卒業したのですが、どうしても大学に行きたくて、卒業後台湾に留学して四年生大学を卒業しました。奨学金制度を使ったので、日本の大学に行くよりもかなり安かったです。卒業後も台湾が好きで台湾に残り、現地採用で5年ほど働きましたが心機一転して、日本で転職することにしました。
日本で働いたことがなかったので不安でしたが、同じ業界で、中国系の企業で採用が決まりました。大きな会社ですが、面接が2回と少なくて驚きました。会社も外資ならでは。
すごく自由で、それでいてスピーディーです。
現在も日本に住みながら会社では毎日中国語を話していますが、あのまま日本で専門を出て社会人になっていたら、今の自分はないでしょうし、本当行ってよかったと思っています。

Bさん(語学留学・日本で就職)
台湾への留学期間 1年(語学留学)
現在の職種 大手外資系企業の総務(人事担当)[2]
業界 医療・医薬品関係
年齢 32歳(女性)
現在の年収 600万円
私は、大学を卒業後、3年ほど働いたのち、ワーキングホリデービザで台湾に語学留学をしていました。新卒で勤めた会社は、小さな貿易会社で、事務から総務まで、営業以外の何でも屋さんでした。残業代もないような激務に耐えられず、ワーホリで台湾に来て、中国語を習得しました。その後もアルバイトなどしながら1年ほどブランクがあり、29歳の時に転職し現職に就いています。
幸い前職で総務の何でも屋さんだったために人事と英語の実務経験があったのと、会社に中華系の方が多く在籍しており、中国語を生かしてサポートなどコミュニケーションを取ってほしいと期待され、採用していただきました。
台湾留学の経験がなければ、中国語はもちろん、英語を話すことにも抵抗があったと思いますし、今の仕事は見つからなかったと思います

Cさん(正規留学・日本で就職)
台湾への留学期間 4年(正規留学)
現在の職種 営業職[3]
業界 金融系
年齢 25歳 男性
現在の年収 710万円
高校を卒業後、一年間語学学校で中国語を学んでから四年生の大学に入りました。台湾は9月入学・6月卒業で日本とは卒業の時期が異なるので就活は一年下の学年と一緒に動くことになります。卒業の目処がついていれば、日本では新卒採用はさほど心配する必要はありません。中国語・英語力は武器になりますが、台湾の大学のネームバリューは日本ではほぼゼロなので、入りたい業界が決まっているのであれば、関連する日本の資格をとっておくと良いです。私の場合は、就活前にFP3級を取りました。

Dさん(正規留学・台湾で就職)
台湾への留学期間 4年(正規留学)
現在の職種 営業職
業界 貿易
年齢 28歳 女性
現在の年収 約390万円
台湾の就労ビザは、通常新卒採用では取得できません。外国人の就労ビザの要件は厳しく、月収も台湾の平均よりもやや高い47,971NTD(約222,000円)以上と定められています。
ただ、専門職や、国内の大学を卒業した人、駐在員はこの限りではありません。私は台湾にパートナーがいたので、大学卒業後も台湾に残り就職したのですが、初任給は3万6,000元(18万円)でした。今は円安のおかげで大分マシに見えますが、やはり日本で就職するよりは低くなるので当時は迷いもありました。

Eさん(語学留学・香港で就職)
台湾への留学期間 1年半(語学留学)
現在の職種 GPD(Global Production Development)
業界 製造業
年齢 38歳 女性
現在の年収 約1,000万円
日本で英語系の学部を卒業した後、英語を使う仕事をしていた経験もあり、元々英語には抵抗がありませんでした。中国語も勉強してみたいと思い、会社をやめたあと台湾へ1年半ほど語学留学に行きました。少しのんびりした後、台湾の就職サイトから現職を見つけ、現地採用で香港に渡りました。仕事は激務ではありませんし、年収も日本より上がりましたが、何より物価が高い。こんなパターンの人生もありますので、何歳になっても留学はできますよ。

まとめ
いかがでしたか?
台湾留学は、日本の新卒採用市場において必ずしも「有利」にはなりません。
特に日系企業では大学名の知名度や英語力が重視される傾向があり、台湾の大学で学んだこと自体が大きな評価ポイントになるケースは少ないのです。
しかし、長期的なキャリア形成という視点では、台湾留学で得た語学力・柔軟性・異文化理解は大きな強みになります。現地での実務経験や日本・海外企業での転職活動においては、中国語や英語を活かせるフィールドが広がり、結果として収入やポジションアップにつながるケースも少なくありません。
実際に紹介した卒業生の進路からも、留学経験を糧にキャリアを切り開き、日本・台湾・香港と幅広い舞台で活躍している姿が見えてきます。
台湾留学に関心をお持ちの方や、一歩踏み出してみたいとお考えの方は、
ぜひお気軽に台湾TALKまでご相談ください♪