夏の終わりが近づくと、「鬼門月だから気をつけてね」「鬼門が開いた」といった言葉を耳にすることがあります。
台湾に住んでいる方や、これから留学・ワーホリを予定している方はぜひ知っておきたいのが、生活に根付いた習慣のひとつである「鬼門」という文化です。

この記事では、台湾における鬼門とは何か、また鬼門と切り離せない行事である「中元節」について紹介します。

鬼門とは?台湾で信じられる「あの世の門」

台湾でいう鬼門とは、「あの世とこの世をつなぐ門」を意味しています。旧暦の7月1日にこの門が開き、亡くなった先祖や無縁仏の霊が現世に戻ってくるとされています。この門は約1か月間開いたままで、7月の終わりに閉じられると信じられています。

台湾ではこの期間を「鬼月(Guǐ yuè )」と呼び、祖先の霊だけでなく、悪霊やさまよう魂も現れると考えられています。「祖先の霊を迎えて供養する行事」という点で、日本のお盆にとてもよく似ています。

2025年の鬼門は8月23日から9月21日まで

日本のお盆と異なるのが、台湾の鬼門の期間です。お盆が3〜4日程度であるのに対して、鬼門は旧暦の7月1日から30日までの1ヶ月続きます。

2025年の鬼門は、8月23日(土)に開き、9月21日(日)に閉じます。
また、祝日ではありませんが、鬼門期間中には「中元節」があり、メディアや企業をはじめとした台湾社会全体で大きく盛り上がります。

「中元節(Zhōng yuán jié)」とは?

中元節(Zhōng yuán jié)は、旧暦7月15日にあたる台湾の伝統行事で、鬼月(旧暦7月)の中でも最も重要な日とされています。
2025年の中元節は9月6日(土)にあたり、この日は霊が最も活発に現れると信じられています。先祖の霊だけでなく、家族を持たない霊や「好兄弟(霊への敬称)」にまで供養を施すのが特徴です。

中元節の始まりは、中国の伝統宗教である「道教」が由来です。
道教では、三官大帝(さんがんたいてい) という3人の神様が信仰されており、そのうちの1人に「地官大帝」という神様います。地官大帝は、「人の罪をゆるす」役割を持っているため、地官大帝の誕生日である旧暦の7月15日が、中元節と呼ばれるようになりました。

現在では、先祖供養や普渡の風習として台湾社会に広まり、今日の中元節へと受け継がれています。この時期になると、スーパーやネットショッピングでも「中元節」に因んだ限定商品やお供えものが販売されます。

日本の「お中元」との違い

実は日本の「お中元文化」もルーツは道教の「中元節」から来ています。
「罪をゆるし、霊を供養する」中元節は、仏教とともに日本に伝わり、お盆の行事として祖先へのお供え物を親族や近所に分ける習慣から始まりました。
その後、「日頃お世話になっている人に品物を贈る」イベントとなり、江戸時代には商習慣として定着しています。

鬼門期間中の過ごし方・イベント

鬼門期間中には、拜拜(Bàibài)と呼ばれる供養の儀式が行われます。
企業や個人では、大きなテーブルの上にご先祖へのお供えものを載せ、お線香を焚き、金紙を燃やします。金の紙はあの世のお金とされており、先祖があの世で不自由しないようにお金を送る習慣があります。
また、台湾のお供えやお参りでは定番ですが、大きな音を立てる伝統的な花火(爆竹)を鳴らして邪気払いをする企業もあります。

管理会社が管理をしているマンションでも、エントランスで同じ行事が行われるため、台湾で暮らしている方は見たことがある、という人も多いのではないでしょうか。

「拜拜(Bàibài)」は、鬼門が開く初日と中元節、鬼門が閉まる日の3回行われます。
日本のお盆が「迎え火 → 盆行事 → 送り火」と3段階あるのと、とても似ていますね。

「鬼門」期間中のタブー

台湾では、旧暦7月の鬼月になると「あの世の門=鬼門」が開き、ご先祖以外の悪い霊も多く現世にやってくると信じられています。
そのため、この期間には霊を呼び寄せてしまうような行為や、不幸を招くとされる行動を避けることが大切だと考えられています。
現地ではご年配の方を中心に忠実に教えを守っている人もいれば、あまり気にしていない人もいます。いずれにしても、子どもから大人までよく知られているタブーなので、知っておくと安心です。
代表的なものは、以下です。

夜遅くの外出や夜遊びをしない
特に真夜中の外出や、暗く人気のない山道・路地は悪い霊が集まりやすいとされ、事故や体調不良につながると信じられています。

海や川で泳がない
鬼月は「水鬼(溺れて亡くなった霊)」が人を水中に引き込むといわれるため、レジャーや遊泳は避けられます。台湾ではこの時期に実際に水難事故が増えることもあり、迷信というより安全面からも守られている習慣です。

笛や口笛を吹かない
夜に笛を吹くと、その音が霊を呼び寄せると考えられています。特に夜間に口笛を吹くのは縁起が悪いとされるので注意が必要です。

洗濯物を夜に干さない
夜風に揺れる衣服には霊が取り憑くと信じられており、衣服を通して不吉な影響を受けると考えられています。そのため日没までに洗濯物を取り込むのが習慣です。

写真やセルフィーを夜に撮らない
暗闇で撮影すると、背後に「何か」が写り込むかもしれないと恐れられています。観光地での夜景撮影なども避ける人が多いです。

結婚・引っ越し・大きな契約を控える
鬼月は「不吉な月」とされ、祝い事や新しいスタートには向かないと考えられています。台湾では結婚式や引っ越しの日取りを選ぶ際に、鬼月を避ける家庭も少なくありません。

さらに細かなものとしては、名前を夜に呼ばない(霊に付け狙われると言われる)、枕元に靴を置かない(霊が靴を辿って近づくとされる)、壁に寄りかかって立たない(壁際に霊が潜んでいると信じられる) 、お金を拾ってはいけない(悪い霊が持ち主かも)などもあります。

まとめ

台湾の鬼月(Guǐ yuè )や中元節(Zhōng yuán jié)は、今も台湾の人々の暮らしや社会に深く根付いている大切な文化です。8月〜9月の時期は、街中で拜拜(Bàibài)の光景を目にしたり、台湾の友人や同僚から鬼月について声をかけられることもあるでしょう。

台湾TALKでは、中国語の学習だけでなく、ネイティブ講師から台湾文化や生活習慣に関する情報も交えて学べるマンツーマンレッスンを提供しています。
現地の言葉と文化を一緒に学ぶことで台湾への理解を深めてみましょう。

気になる方は、ぜひLINEよりお気軽にお問い合わせください。