「台湾の大学で留学ってどうなの?」と思っている方に、実際に台湾に正規留学した現役学生がメリット・デメリットを本音で紹介します。良い事も悪い事も包み隠さず正直に語っていますので、台湾正規留学志望者は必見です。
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台湾の基本情報
国名正式名称 | 中華民国 |
面積 | 約3万6000km2(日本九州と同じくらい) |
人口 | 2358万6562人(2020年5月) |
首都 | 台北 |
気候 | ケッペンの気候区分によると北部は亜熱帯気候、中部は温帯夏雨気候、南部は熱帯モンスーン気候 |
日本との時差 | 日本と台湾の時差は-1時間(日本が午前9時のとき台湾は同じ日付午前8時) |
民族構成 | 94%が漢民族。台湾の人と結婚して台湾に移り住んだ海外籍の人たちのことである台湾新住民が3.1%、16族の台湾原住民が2.37%。 |
宗教 | 台湾は中華民国憲法により宗教の自由が認められており、各宗教は平等であると規定されている 仏教、道教、キリスト教、モルモン教、一貫教、統一教会、カトリック教、イスラム教、ヒンズー教、ユダヤ教、ギリシア正教会など |
台湾華語(台湾の中国語)と台湾語について
台湾の公用語は中国語(北京語・普通語)です。また、台湾華語と呼ばれることもあります。中国の中国語が簡体字を使っているのに対し、台湾の中国語は繁体字を使います。日本人にとっては簡体字より繁体字の方が馴染みがあるかもしれません。
台湾華語は中国の中国語より巻き舌が少なく、一部用語違いますが、基本的に中国人と問題なく意思疎通が可能です。
台湾語とは日本でいう方言のようなものです。公用語である中国語は「國語(guó yǔ)」と呼ばれるのに対して、台湾語は「台語(tái yǔ)」と呼ばれます。学校や会社・公共の場などの普段の生活ではこの中国語が使われますが、中南部の家庭内での会話は台湾語を使う場合が多い様です。
中国語と台湾語は全く違う言語で、中国語の声調は4種類に対し、台湾語の声調は8種類もあります。中国語と台湾語では発音が全く違うものです。
また、台湾の人全員が台湾語を喋れるわけではなく、若い人達の中で喋れる人は年々少なくなってきています。
繁体字と簡体字の違い
中国語には「繁体字」と「簡体字」の二つの字体があります。
もともと繁体字を使っていた中国ですが、1956年の漢字簡略化法案の成立によって漢字の普及が求められるようになり、中国やシンガポールではより簡単な表記にした簡体字が生まれました。
一方台湾では、伝統的な字体である繁体字を今でも使っています。繁体字は台湾以外にも香港やマカオで使われています。
台湾の中国語(台湾華語)と中国語の違い
①標準語か方言の違い
まず、中国語普通語は中国政府が制定している共通語です。台湾の中国語(以下;台湾華語)もこの普通語と同じもの。
日本でも東京の人と鹿児島の人が日本語を話す時に同じ普通語を使っても、イントネーションの違いや使う語彙の違いが出てきますよね?あくまでも「標準語」か「方言」の違いなだけでどちらも正しく、間違ってはいません。
②舌を巻くか巻かないか
中国では「そり舌音」と呼ばれる舌を巻いて発音するこの音をしっかり発音していきます。
一方、台湾華語では舌をあまり巻かずに発音するのが特徴です。
この二つの違いが一番分かる例を挙げると、「おいしい」という意味の「好吃 (hǎo chī)」。この「吃(chī)」はそり舌音です。中国では舌をしっかり巻いて発音していくので、「好吃 (ハオチ―)」と発音しているように聞こえますが、台湾華語では舌をあまり巻かないので「好吃 (ハオツ―)」と発音しているように聞こえます。
③三声の発音
中国語には4つのイントネーションを表す声調(四声)と呼ばれるものがあります。その中の第三声の発音が中国と台湾華語ではにわかに違ってきます。
中国の中国語ではこの音は低く下げ、下げ切った後に次は上に音を上げていきます。一方で台湾華語では、この音を下げ切って次の発音に移っていきます。
中国では最後上に音を上げていく部分が台湾華語にはなく、そのまま低い音の状態で次の音に移っていきます。(半三声)
この部分に関しても標準語と方言の違いと同様にどちらも正しく、間違っていません。
④発音記号の違い
中国では、ローマ字で発音を表す「ピンイン(拼音)」が使われています。日本にある参考書のほとんどはこのピンインを使って教えています。
しかし台湾ではこのピンインで発音記号を表記するのではなく、「ジュウイン(注音)」符号を使用します。
〈引用;https://zh.wikipedia.org/wiki/%E6%B3%A8%E9%9F%B3%E7%AC%A6%E8%99%9F〉
しかし、留学生は注音を習わずピンインで勉強していきます。注音がわからなくても、文字を打つことや生活に全く支障はでないので、気にする必要はありません。
台湾の中国語(台湾華語)は中国で伝わります
台湾華語は中国人に伝わります!実際に私は日本で中国人と一緒に仕事をしていました。
私は台湾に留学しているので中国の中国語ではなく台湾華語ですが、疑問に思うこともなく会話が続いていました。
中国では「そり舌音」をしっかり巻いて発音するため、初めて聞いたときは何を言っているのか聞き取りづらい部分がありました。また、単語によっては違う発音をするものや、同じ漢字でも違う意味を持つものも。
その一部で以下のようなものがあります。
意味 | 中国語 | 台湾華語 |
タクシー | 出租车(chū zū chē) | 計程車 (jì chéng chē) |
自転車 | 自行车 (zì xíng chē) | 脚踏車 (jiǎo tà chē |
ごみ | 垃圾 (lā jī) | 垃圾 (lè sè) |
品質 | 品質 (pǐn zhí) | 品质 (pǐn zhì) |
これはどの言語も同じですが耳が慣れさえすれば、中国の中国語も聞き取れるようになります。一部の単語が違うだけで残りのほとんどの単語や文法は中国も台湾華語も同じですので、台湾華語を習ったからといって中国で使えないということはありません。
台湾正規留学のメリット
留学費用が安い
台湾の物価は日本の2分の1といわれているほど安いです。
朝ごはんは50元(=約180円)あれば足りますし、バスなどの公共交通機関も約15元(=54円)スタートです。台中であれば、台湾の交通ICカード;悠遊卡(ヨウヨウカー)を使って10kmまでの乗車が無料になります。
台湾は日本に比べて生活費を抑えて生活することができます。では台湾の大学費用はどうなのでしょうか?
国立 | 私立 | |
台湾 | 約5萬8726元 (=約21万1414円) | 10萬9944元 (=39万5798円) |
日本 | 約約82万8000円 | 約133万2000円 |
〈引用;https://udn.com/news/story/6928/3175439〉
上の表からもわかるように一年間の台湾の学費は日本の学費3–4分の1です。台湾の私立大学に通っても日本の国立費用よりも安いのがわかりますね
日本人に合った環境
台湾はとても親日です。台湾人自体がとても親切でフレンドリーなので、困ったことがあるとすぐに手を貸してくれます。
私も台湾に着いたばかりの頃、大学の授業の専門用語がわからず困っていました。それを見かねた台湾人の友達が時間を惜しまずずっと横に座り、一つ一つ丁寧に教えてくれました。
また、台湾の食文化も日本人が好きな味ですので、台湾に来て食べられるものがないなどの心配はありません。
日本からの距離が近い
台湾は日本から約3~4時間の飛行機で着きます。飛行機の便数も多く、頻繁に飛んでいるため一時帰国もしやすいです。
最近ではLCC航空の数が多くなり、安く行き来することが可能になりました。
日本との時差1時間
日本と台湾の時差は1時間。時間は台湾のほうが遅く、日本が午前9時のとき台湾は同じ日付午前8時となります。
台湾に着いたばかりの頃は親元を離れて生活することが初めてだったということもあり、ホームシックによくなっていました。時差が1時間だけなので、日本の時間をあまり気にすることなく電話をしたいときに電話ができたのは本当に助かりました。
ほかの国へ旅行がしやすい
台湾は日本に比べて東南アジアの国に近いので、気軽に旅行に行けます!
費用も日本から行くより台湾から行った方が格安です。私自身、夏休みや連休を使って今までに、タイ・シンガポール・ベトナム・マレーシア・カンボジ・インドネシアに行きました。
台湾正規留学のデメリット
簡体字になじめず、HSKなどの公的資格に不利
中国語検定の多くは簡体字で行われます。そのため、繁体字になれていると簡体字が全く分からず苦労します。
もちろん繁体字の公的資格もありますが、それは台湾だけでのみ有効の資格になるので資格を取るなら簡体字の勉強は避けられません。私も今勉強をしていますが、簡体字と繁体字を結びつける作業が大変で、苦労しています。
住環境
台湾の気候は暑く湿気が多い国。その為、虫も多く出ます。
家にアリやゴキブリがでたなんてことも当たり前。湿気も多いですのでダニにも注意が必要です。
また、トイレとお風呂場が分かれていない物件がほとんどで、中には便座に座りながらシャワーをしなければいけない狭さのお風呂場もあります。日本感覚で物件を見に行ったらその差にびっくりするでしょう。
さらに一部の大家さんは大雑把です。ネットに載ってある写真と実際の部屋が全く違うこともしばしば。
家の契約も大家さんのタイミングで切られます。急に電話がかかってきて、「来年からは貸し出せないからこの日付までに引っ越しをしてね。」と言われることも多いです。急なことに戸惑いますが、多くの大家さんがそうなので素直にほかの家を探すしかありません。
家にキッチンがない
台湾は一般家庭であっても外食が中心の文化です。自炊をする文化がないため、物件自体にキッチンが無い物件がほとんど。
どんなに台湾の料理がおいしいと言っても、たまには日本の味が恋しくなるはず…。その時にキッチンがないのは不便ですよね。
蚊が多い
台湾は温暖気候です。蚊の量も多く、大体4月ごろから蚊が発生します。
日本にはいない蚊「小黒蚊(Xiǎo hēi wén)」がいます。この小黒蚊、胡麻より小さい大きさなんです!小さすぎて見つける方が困難なほど。しかも刺されると普通の蚊よりもかゆみが多いという厄介な蚊です。
気温が高くとても暑い台湾ですが、安易に露出の多い恰好をしてしまうとこの小黒蚊や蚊の餌食になってしまいます。
日本の就職情報があまり入ってこない
日本では大学側が催促してくれることもあり、就職について触れる機会が多いです。
しかし台湾にいると日本での就職イベントに参加が難しかったり、インターンなどの機会も少ないです。また台湾の就職方法も日本と全く違うことから、そもそもの就職の知識を得る場所がありません。どうしても日本にいる学生に遅れをとってしまいます。
台湾留学前に注意すべきこと
仕事・アルバイトについて
台湾では外国人ができる一週間のアルバイト時間数が定められています。「雇主聘僱外國人許可及管理辦法」によると,外国人の労働時間は夏休み・冬休みを除いて週に20時間と定められています。
台湾での最低賃金は158元(=約569円)。一か月のお給料は平均で大体12,000から14,000円です。詳しくは【台湾アルバイトの給与&時給【5人の例を大公開】で投稿しています。
中国語と英語両方できるようになるの!?
台湾の大学での授業は学科によっても違いますが、基本的には英語の教科書を使って中国語で授業が行われます。テストも英語で問題が出されるため、ある程度の英語能力は養われます。
また、学校内にも英語圏の学生はたくさんいるため英語を話す機会はありますし、英語圏への交換留学は多く募集されています。
どこまでできるかは自分次第です。台湾留学に来たからといって絶対に英語ができるわけではありません。英語を実践的に使える機会が日本より多くあるだけです。うまく利用できるかどうかは、個人の努力次第になります。
台湾は日本語が通じる?
台湾に旅行をしたことがある人なら知っていると思いますが、台湾の街中には日本語であふれています。観光地などでは日本語を勉強している人が多く働いており、流ちょうな日本語で話しかけてきてくれます。
しかし、実際に台湾に暮らすとなると話は別です。
「ちょっと待って」・「おはよう」などの簡単な日本語は通じるものの、一般的に日本語は通じません。近年、日本人の観光客が多いことから観光地では日本語をしゃべる店員さんが増えていますが、それはあくまでも観光地だから。実際に生活するとなると日本語は全く通じないと考えた方がいいです。
留学費用を安く済ませたかったら節約しなければならない
メリットのところで台湾の物価が安いと言いましたが、物価が安い=生活費が安いではありません。
もし日本で暮らしているときと同じようなお店や生活を望むのであれば、生活費はそこまで安くなりません。日本水準のオシャレなカフェや日本人経営のレストランに行くと、値段は日本と同じか日本より高くなってしまいます。
留学費用を安く済ませたい場合、ローカルなお店に行くなどの工夫が必要です。
台湾正規留学の本音。まとめ
「台湾留学」するかどうか今悩んでいる人も多いと思います。
台湾留学にもメリット・デメリットはありますし、実際に留学に来た人の中で台湾留学が合わずに辞めていった人もいます。
ただ私は台湾留学に来て無駄なことはないと思っています。あくまでも私の意見ですが、台湾に来て母国語ではない中国語で生活をするという経験はなかなかできないものですし、その中で得られることも多いです。
この台湾留学のメリット・デメリットを見て、少しでも台湾留学が良いなぁと思った人は試してみてはどうでしょうか?例え途中で辞めたとしても立派な経験となりますよ。