台湾はアジアの中でも高等教育のレベルが高く、多くの優秀な大学があります。大学の数は、公立・私立を合わせて159校もあり、それぞれの大学には特徴があります。
この記事では、台湾への留学を考えている方に向けて大学の特徴や魅力を紹介し、さらに各分野(理系・経済・医学部・言語学・就職に強い)ランキングも紹介します。
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【2025年】台湾大学は世界で何位?
順位 | 大学名 | 世界ランキング | アジアランキング |
---|---|---|---|
1 | 国立台湾大学(NTU) | 68位 | 26位 |
2 | 国立清華大学(NTHU) | 210位 | 39位 |
3 | 国立成功大学(NCKU) | 215位 | 41位 |
4 | 国立陽明交通大学(NYCU) | 219位 | 42位 |
5 | 国立台湾科技大学(NTUST) | 392位 | 66位 |
6 | 国立台北科技大学(NTUT) | 425位 | 91位 |
7 | 国立台湾師範大学(NTNU) | 452位 | 79位 |
8 | 国立中山大学(NSYSU) | 485位 | 83位 |
9 | 国立政治大学(NCU) | 601-610位 | 123位 |
10 | 台北医学大学(TMU) | 611-620位 | 122位 |
台湾の大学TOP10と日本の大学を合わせた世界大学ランキング(QS)は以下になります。
※()内はQSのアジアランキング
順位 | 日本 | 台湾 | ||||
---|---|---|---|---|---|---|
32位(21) | 東京大学 | |||||
50位(23) | 京都大学 | |||||
68位(26) | 国立台湾大学(NTU) | |||||
84位(30) | 東京工業大学 | |||||
86位(32) | 大阪大学 | |||||
107位(25) | 東北大学 | |||||
152位(32) | 名古屋大学 | |||||
167位(34) | 九州大学 | |||||
173位(35) | 北海道大学 | |||||
181位(51) | 早稲田大学 | |||||
188位(48) | 慶應義塾大学 | |||||
210位(39) | 国立清華大学(NTHU) | |||||
215位(41) | 国立成功大学(NCKU) | |||||
219位(42) | 国立陽明交通大学(NYCU) | |||||
377位(63) | 筑波大学 | |||||
392位(66) | 国立台湾科技大学(NTUST) | |||||
425位(91) | 国立台北科技大学(NTUT) | |||||
452位(79) | 国立台湾師範大学(NTNU) | |||||
465位(76) | 神戸大学 | |||||
474位(96) | 広島大学 | |||||
485位(83) | 国立中山大学(NSYSU) | |||||
539位(143) | 一橋大学 | |||||
601-610位(123) | 国立政治大学(NCU) | |||||
611-620位(122) | 台北医学大学(TMU) | |||||
641-650位(144) | 立命館大学 |
なお、上記ランキングを作成したイギリスの教育調査機関QS(Quacquarelli Symonds)は以下の評価指標を用いています。
-
学術的評判(Academic Reputation) – 30%
世界中の研究者へのアンケート -
雇用者評判(Employer Reputation) – 15%
世界中の雇用者へのアンケート -
教員あたり論文被引用数(Citations per Faculty) – 20%
研究の影響力 -
学生/教員比率 – 10%
教育リソースの手厚さ -
国際教員比率 – 5%
-
国際学生比率 – 5%
-
持続可能性・国際研究ネットワークなどの追加指標 – 15%
【2025年】台湾国内の大学ランキング
次に、台湾国内で発表された大学ランキングを見てみましょう。
今回参照するデータは1986年に創刊された《遠見(Global Views)》が以下の6つの側面から独自に調査した大学ランキングになります。
-
社会的影響(20%):13項目
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学術的成果(20%):7項目
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教育力(17%):10項目
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国際化の程度(15%):9項目
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産学連携の影響(17%):8項目
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財務指標(11%):6項目
以下は、台湾の大学ランキングになります[3]。
【2025年】台湾の総合大学ランキング
《遠見》は全大学を対象にしたランキング以外に、総合大学、技術系(テクノロジー)大学、文系大学、医科大学、私立大学の5つに大学を分類し、それぞれにランキングをつけています。
以下は、台湾の総合大学のランキングになります[3]。
【2025年】台湾の技術(テクノロジー)大学ランキング
2つ目は、技術系(テクノロジー)大学です。
現在最も不足している人材の「半導体」もこちらにあたります。即戦力として企業で活躍することから台湾国内では「技術系職業訓練校」とも呼ばれます。
機械工学のナンバーワンは、不動の臺灣科技大學です。
台湾では従来より「私立より国立」という共通認識がありますが、私立大学の「明志科技大学」が社会的名声、学業成績、財務の質で優れた大学として3位にランクインしています[3]。
科技大学とは
医学およびテクノロジー系は「科技」と付いている大学が多くあります。科技大学は、「科学技術」と「実務応用」を教育の主軸に置く高等教育機関です。伝統的な総合大学が理論や学術研究を重視するのに対し、科技大学は技術力や実践力、産業との連携を重視しています。
- 歴史的背景
台湾における科技大学の前身は、1950年代から1970年代にかけて設立された「工業専科學校)」です。当時、国家経済の発展と産業技術の向上を目的として、「臺灣工業専科學校(現在の国立台北科技大学)」、「高雄工専(現在の国立高雄科技大学)」などが設立されました。
1990年代に入ると、産業の高度化と高等教育への需要の増加により、政府は職業技術教育の高度化政策を推進し、多くの専門学校が「技術学院」へと改組され、その後「科技大學」へと昇格しました。
現在、台湾の科技大学は、工学、デザイン、経営、観光、ホスピタリティ、生物技術など多様な分野をカバーし、産業界で活躍できる実務力のある人材を育成しています。 - 意義
科技大学の設立目的は、産業界が求める即戦力となる技術者や専門職人材の育成です。学生は在学中に実務を重視したカリキュラムに参加し、インターンシップ、プロジェクト型学習、企業との連携授業などを通じて、実際の職場で通用するスキルを身につけます。
さらに、科技大学は企業との連携を強化し、「産学連携センター」「技術移転プラットフォーム」「イノベーション育成センター」などを設置しています。これにより、企業が抱える実務課題の解決に貢献し、学生もリアルなプロジェクトに参加する機会を得ています。
このような教育体制は、いわゆる「学んだことが現場で通用しない」というギャップを大きく縮め、高等教育の新たなモデルとして注目されています。
【2025年】台湾の文系大学ランキング
3つ目は、文系大学ランキングです。
ここで言う文系大学は人文社会学系の学部数が全学部の60%以上を占めているものとなります[3]。
国立台湾師範大学は、教育大学として国語や語学においても台湾でトップの大学です。留学生の受け入れも非常に盛んであり、外国人にとってもポピュラーな大学です。
2位の政治大学は、大学名の通り社会問題や政治に強く、就職先にはマスコミや法律関係の職に就く人が多い大学です。
師範学校とは
国立台湾師範大学に代表される師範学校は、小中学校の教師を専門的に養成するために設立された教育機関です。「師範」という言葉は、「人の師として範となる」という意味を持ち、教師が模範となる人格と高い教育的責任を備えるべき存在であることを示しています。こうした学校の存在は、その国が教育制度をどれだけ重視しているかを反映しています。現在では教師の育成にとどまらず広範な学部学科を取り揃えており、今日に至る地位を確立しました。
- 歴史的背景
台湾における師範教育の起源は、日本統治時代にまでさかのぼります。1895年に設立された「臺灣總督府國語學校」が最初の例であり、その後「臺灣師範學校」へと発展しました。戦後、国民政府の時代には、1946年に「臺灣省立師範學院」が設立され、今日の「国立台湾師範大学」へと改組されました。
師範学校は、当時の政府によって多くが公費で運営され、卒業後は数年間の義務勤務が課されていました。これは、教育人材の安定供給を実現すると同時に、経済的に困難な家庭の学生にも教育の機会を与える制度でした。 - 意義
師範学校の存在は、教師という職業に対する社会的尊敬と専門性の重視を示すものです。教師は単なる知識の伝達者ではなく、人格形成や価値観の指導者でもあります。そのため、師範学校では教授法だけでなく、教育心理学、児童発達、教育哲学なども重視されます。師範学校は教育改革や新しい教授法の実験場としての役割も果たしてきました。
新たな教育方法やカリキュラムの試験的導入は、しばしば師範体系の附属学校から始まり、教育の質の向上と革新に貢献しています。現代においても、教育の専門性が求められる中で、師範学校の意義は再評価されており、「教師の専門職化」や「教育の質の保障」という観点から、その役割が再定義されています。
【2025年】台湾の医大ランキング
4つ目は、「メディカルサイエンス(医療)」です。
台北医学大学は、人材育成の方向性を従来の「医学系人材」から「生物医学産業生態系人材」に転換し、20社以上のベンチャー企業との新規事業の立ち上げに成功しており、台湾のトップ医大として君臨してきました[3]。
2025年のランキング首位となった中国医薬大学では「国際連携」「医薬研究開発」「AIイノベーション」を重点戦略とし、台北医学大学を超えた台湾医学系大学のトップに立つ存在へと成長しています。
【2025年】台湾の私立大学ランキング
5つ目が、私立大学です。
世界ランキングからもわかるように、台湾では私立大学よりも国立大学のほうが優れているという認識があります。そのため、私立大学のランキングでは医学部のある医大が上位の常連になります[3]。
6位にランク入りしている元智大学では、台湾が推奨している中英バイリンガルの流れに合わせ、台湾で初めて全て英語による授業(全英課程)を行い、国家品質賞を受賞した大学でもあり、評価されています。
医大・テクノロジーに特化した大学を抜いた私大ランキングは以下になります。こちらは理系文系ともに広範な学部を有している総合大学のランキングとして一般的なものとなります。
2023年のランキングでは逢甲大学が一位で亞洲大学が二位、2024年は東海大学と元智大学が同率一位であったため、私立の総合大学は順位の変動が激しいです。
【2025年】台湾で就職に強い大学ランキング
続いて、台湾で企業に好かれる、就職に強い大学ランキングです。
企業が最も採用したい大学ランキングでは、総合1位の台湾大学ではなく、国立成功大学(NCKU)が選ばれました[3]。
国立成功大学のある台南には、南部サイエンスパークがあり、TSMCなど名だたる企業の工場があります。国立成功大学はそれら企業との産業連携が強く、企業評価が高くなっています。また、SGDs関連の研究も長くから行われています。
順位 | 大学名 | 特徴 |
---|---|---|
1 | 国立成功大学(NCKU) | 産学連携が強く、企業評価が高い |
2 | 国立台湾大学(NTU) | 学術・研究の評価が高い |
3 | 国立清華大学(NTHU) | 理工系・半導体分野で評価が高い |
4 | 国立陽明交通大学(NYCU) | 医療・通信技術分野で活躍 |
5 | 国立政治大学(NCCU) | 経済・ビジネス分野の卒業生が多い |
6 | 国立台北科技大学(NTUT) | 工業系・技術職に強い |
7 | 国立台湾科技大学(NTUST) | ビジネス・起業分野で人気 |
8 | 国立中山大学(NSYSU) | 経営学・海洋学が強い |
9 | 国立中央大学(NCU) | 宇宙・自然科学分野で評価が高い |
10 | 淡江大学(TKU) | 私立大学として評価が高い |
まとめ
台湾には159校もの大学があり、国立・私立を問わず、それぞれに特徴があります。
世界やアジアの大学ランキングでも評価の高い学校が多く、特に技術系や医療、ビジネス分野の教育が充実しています。また、産学連携が盛んな大学も多く、就職にも有利な環境が整っています。
自分の専攻や将来の目標に合った大学を選ぶことで、より充実した留学生活を送れるでしょう。大学選びに迷ったら、ぜひ台湾Talkにご相談ください。