TOCFL(トクフル)とは、台湾で話されている中国語(台湾華語)の公式な検定試験です[1]

実用的なコミュニケーション能力を測るために国家華語測験推動工作委員会が開発し、台湾政府が認定しています。

世界には、大学への正規留学や就労ビザの発行などに語学力を証明する検定試験がありますが、英語圏ではTOEFL、中国本土ではHSK、台湾ではTOCFLになります。

台湾では繁体字が使用されているため、台湾国内で試験を受ける場合は繁体字での試験になります。日本を含む台湾国外でTOCFLの試験を受ける場合は、簡体字と繁体字を選ぶことができます。

 

TOCFL(台湾華語検定)のレベルは6つ

TOCFL 台湾

 

TOCFLの試験は、リスニング試験( 50問、約60分)とリーディング試験(50問、60分)で構成されています。

大きく「Band A」「Band B」「Band C」という3つのレベルに分かれており、受験者は3つの中から受験する級を選びます[2]

 

そして、試験後の点数によって実際の6つのレベル(級)が決まります。

それぞれの合格ライン、及び目安となる語彙数と学習時間は以下になります。

BandA(入門級・基礎級)

合格ライン

リスニング41点/80、リーディング42点/80以上⇒Level1 (入門級):基礎語彙力500語程度

※学習時間の目安:中国語圏での中国語学習時間が120~240時間の人、あるいは他の国での学習時間が240~480時間の方

リスニング60点/80、リーディング60点/80以上⇒Level2  (基礎級):基礎語彙力1,000語程度

※学習時間の目安:中国語圏での中国語学習時間が240~360時間の人、あるいは他の国での学習時間が480~720時間の方

 

BandB(進階級・高階級)

合格ライン

リスニング46点/80、リーディング48点/80以上⇒Level3 (進階級):基礎語彙力2,500語程度

※学習時間の目安:中国語圏での中国語学習時間が360~480時間の人、あるいは他の国での学習時間が720~960時間の方

リスニング61点/80、リーディング64点/80以上⇒Level4  (高階級):基礎語彙力5,000語程度

※学習時間の目安:中国語圏での中国語学習時間が480~960時間の人、あるいは他の国での学習時間が960~1,920時間の方

 

BandC(流利級・精通級)

合格ライン

リスニング50点/80、リーディング52点/80以上⇒Level5 (流利級):基礎語彙力8,000語程度

※学習時間の目安:中国語圏での中国語学習時間が960~1,920時間の人、あるいは他の国での学習時間が1,920~3,840時間の方

リスニング61点/80、リーディング69点/80以上⇒Level6  (精通級):基礎語彙力8,000語程度

※学習時間の目安:中国語圏での中国語学習時間が1,920時間以上の人、あるいは他の国での学習時間が3,840時間以上の方

 

※CAT(コンピュータ試験)の場合はリスニング・リーディングともに700点満点のため合格基準が異なります。

※台湾留学の奨学金では、進階級(Band B Level 3)以上の語学力が必要とされています。

TOCFL(台湾華語検定)とHSK、中国語検定の違い

中国語の資格検定試験といえば、HSKや中国語検定を思い浮かべる方が多いのではないでしょうか。TOCFLとHSK、中国語検定の違いについて紹介します。

HSKとの違い

TOCFL HSK 比較

 

TOCFLとHSKの違いは、大きく分けると台湾政府が公式に認めている検定試験か、中国(大陸)政府が公式に認めている検定試験かになります。

 

そのため、出題される試験もHSKでは簡体字のみですが、TOCFLでは簡体字・繁体字から選ぶことができます。

※台湾で試験を受ける場合は、繁体字のみです

CAT試験(コンピューター試験)の場合、中国(大陸)では拼音が、台湾では台湾で使われている注音と、拼音の両方を選ぶことができます。

 

また、試験内容にも大きな違いがあります。

HSKは、1〜2級まではリスニングとリーディングのみ、中級以上からライティングの試験が追加されます。

TOCFLは、台湾国内・国外で受けられる試験が異なります。

 

台湾国外で受けられるのは、リスニングとリーディングの2つです。

台湾国内では、リスニングとリーディングのほか、ライティングとスピーキングの資格取得が可能です。

 

外国語能力のレベルを測る国際基準であるCEFR(セファール)基準では読む、聞く、書く、話すの習熟度および運用能力を「A1」「A2」「B1」「B2」「C1」「C2」の6段階で評価します。

TOCFLの試験レベルは、CEFR(セファール)を元に作成されているのに対し、HSKはリーディング・リスニングのみの6レベルで構成されており、TOCFLと比べると難易度が低いとされています。

 

HSKの最高級である6級は、TOCFLに置き換えると、B2レベルになります[3]

 

中国語検定との違い

TOCFL 中国語検定 比較

 

中国語検定は、日本中国語検定協会で作成された検定試験です。

台湾華語(中国語)ではなく北京語(中国語)が主に作られており、試験は簡体字で進められます。

 

試験内容は、リスニング、リーディング、ライティング、スピーキング(準1級以上)でこちらは台湾国内で受けられるTOCFLと同じです[4]

日本で作られた検定試験のため、効力は日本国内のみに及びます。

そのため、現地での留学条件として求められることないでしょう。

 

TOCFL(台湾華語検定)とHSK、中国語検定の3つの検定試験を比較すると、以下になります。

TOCFL HSK 中国語検定

TOCFL(台湾華語検定)を取得すると留学や就職に有利

TOCFL(台湾華語検定)を取得すると留学や就職に有利

TOCFL(台湾華語検定)は大学への正規留学や就業で、中国語能力を証明するために必要不可欠な試験有効です。

 

台湾の大学進学のためには全英コースでない限りTOCFL A2の提出が求められます。

そのため、台湾の大学に受験を検討されている方はできる限り早くA2を取得する必要があります。

各大学ごとにTOCFLの証明書を提出する期限が設定されています。もしも不明な場合は台湾Talk正規留学LINEへお問合せください。

 

台湾の大学、大学院への留学或いは大学付属の語学センターへ通う場合、台湾奨学金を申請することができます。

申請時の募集要項には、リスニングとリーティングで進階級(Band BのLevel 3以上)の証明書と成績書の写しが求められています[5]

 

またバンクーバーブリティッシュコロンビア州教育省のほか、世界の19校にて、台湾大学への留学や学生の中国語能力の判断基準にTOCFLが採用されています。

 

2025年の台湾華語検定試験(TOCFL)の日程

TOCFLは、世界中で受けられる試験です。

2025年の日本、台湾それぞれの試験日程を紹介します。

日本でTOCFL(台湾華語検定試験)を受ける場合

日本国内でのTOCFLの試験は、下記の日程で年に8回開催されています。

TOCFL 日程

HPの申し込みフォーム[6]から個人で申し込みが可能です。

台湾華語検定(TOCFL)

 検定試験は札幌・仙台・東京・横浜・名古屋・大阪・広島・博多・那覇の都市で受験できます。お住まいの近くに会場がない場合は、これらの都市に行って試験を受ける必要があります。

Band Aの試験は午前中、Band Bの試験は午後にあります。

時間に余裕のある試験日を選びましょう。

日本での試験の注意点・持ち物

申込が完了すると、試験会場を伝えるメールが届きます。

会場では身分証明証の確認がありますので、必ず忘れないようにしましょう。

 

日本での試験は基本的にペーパー試験で行われます。

シャープペンシルや鉛筆、消しゴムなどの筆記用具とアナログの腕時計も準備しておきましょう。

 

パスポートがない人はIDの数字を「000000」と記入すれば登録できます。

台湾でTOCFL(台湾華語検定試験)を受ける場合

台湾国内のTOCFLは、リスニング、リーディングのほか、ライティング、スピーキング、さらにリモート試験が開催されています。

 

台湾での試験はすべてCAT(パソコン)での受験になります。

また、一般的なTOCFL試験以外に、子どもの中国語能力を測るための試験(兒童華語文能力測驗)や、外国人労働者のための試験(移工留才久用正式考試)も実施されています。

一般的な試験は年に11回、子どもの試験は年に2回、外国人労働者向けの試験は、年に6回です。

一般のTOCFLでは、リスニングとリーディングの試験はコンピューターを使用したマーク形式で行われます。

 

台湾国内からの申し込みは公式HP[7]をご利用ください。日程は下記になります。

台湾 TOCFL 日程

CATテストはパソコンで受験するTOCFL

CATテストとは

CATテスト(電腦化適性測驗)は、受験者の能力に合わせて質問の難易度を調整する試験です[8]

正しく答えるほど難しい問題が出題され、間違えると簡単な問題に切り替わります。

これにより、受験者の実力を正確に測定し、効率的にテストを進めることができます。

 

問題の難易度が常に変化するため、一般的にペーパー試験よりも難しくなると言われています。試験問題のレベルを選ぶのがペーパー試験、パソコンに向かい、試験をスタートさせるとレベルに合わせた問題を出してくれるのがCAT試験です。

 

ペーパー試験は80点満点ですが、CATテストはリスニング・リーディングそれぞれ700点満点です。

点数によりTOCFLのレベルが決まります。

 

この点は、TOEICやTOEFLの試験形式と似ています。

ほかにもメリットとして、試験後すぐに採点が完了し合格の有無を知ることができます。

台湾でTOCFLの受験を検討されている方は、模擬試験を受けて練習してみましょう。

 

CATテストの合格基準

CAT試験の合格基準は80点満点の筆記テストとは異なり、以下の合格基準となります。試験では約35問に回答することが目安とされます。25問に達しない場合は正確なスコアが算出できないため、一つの問題にあまり時間をかけすぎないように注意しましょう。

なお、リスニングとリーディングの満点はそれぞれ700点満点です。

CAT 合格基準

上記はリスニングとリーディングそれぞれのレベルを別個に測る合格基準ですが、両者を合わせた総合的な中国語の能力は以下の基準で測り、それが中国語能力証明書として発行されます。

CAT 合格基準

リスニングとリーディングの合計点が各レベルの基準合計点を満たしており、かつリスニングとリーディングの両方が各レベルの最低基準点を満たしている場合はそのレベルが中国語能力証明書として発行されるレベルとなります。

例えば、

⑴リスニングの点数が540、リーディングの点数が590の合計1130の場合⇒「高階級(B2)」

リスニングは480以上555未満なので「進階級(B1)」、リーディングは570以上610未満なので「高階級(B2)」となります。

合計点は「高階級(B2)」の基準となる1125以上かつ、リスニングは「高階級(B2)」の最低基準点515を満たしているため、リスニングは「進階級(B1)」ですが、リスニングとリーディングの総合力としての中国語能力は「高階級(B2)」のレベルとして認められます。

 

⑵リスニングの点数が540、リーディングの点数が580で合計1120の場合⇒「進階級(B1)」

リスニングは480以上555未満なので「進階級(B1)」、リーディングは570以上610未満なので「高階級(B2)」となります。

リスニングは「高階級(B2)」の最低基準点515を満たしていますが、⑴とは異なり合計点が「高階級(B2)」の基準となる1125を満たせていないため「進階級(B1)」と判定されます。この場合は「高階級(B2)」までリスニングかリーディングの点数があと5点足らなかったということになります。

 

⑶リスニングの点数が510、リーディングの点数が620で合計1130の場合⇒「進階級(B1)」

リスニングは480以上555未満なので「進階級(B1)」、リーディングは610以上690未満なので「流利級(C1)」となります。

合計点は「高階級(B2)」の基準となる1125以上ですが、リスニングは「高階級(B2)」の最低基準点515を満たしていないため、リーディングは「流利級(C1)」ですが、リスニングとリーディングの総合力としての中国語能力は「進階級(B1)」と判断されてしまいます。この場合は「高階級(B2)」までリスニングの点数があと5点足らなかったということになります。

 

つまり、リスニングかリーディングのどちらかの点数が目標スコアに達していない場合でも、もう片方のテストで点数を稼いで合計点を高めれば総合力の中国語力は目標に達する可能性があるということです。たいていの場合、リーディングよりもリスニングの点数が低くなりますが、リスニングが上手くいかなくても諦めずにリーディングで点数を稼げるようにがんばりましょう。

CATの試験後はすぐにスコアが表示されるため、リスニングとリーディングのそれぞれのスコアを覚えておきましょう。両者の点数を入力することで、どのレベルにあるのかを判定してくれる計算用サイト[9]もあります。

CATの成績確認方法

CATのスコアは「考生專區(受験者専用ページ)」にログインすれば、「成績查詢(成績の確認)」の項目で閲覧できます。

そしてPDF版の成績表を登録したメールアドレスに無料で送付してくれるサービスもあります。

TOCFL CAT 成績

台湾華語検定(TOCFL)の試験対策

検定試験の試験対策では、より多くの過去問題を受けるのがおすすめです。

TOCFLの台湾公式サイトでは、BAND A〜Cまで全てのレベルの過去問題が公開されています。

 

また、過去問題は受験する国の言語での説明文を選ぶことが可能です[10]

台湾華語検定(TOCFL)

 

また、TOCFLには有料で受けることができる模擬試験もあります。

200元(約1,000円)と本試験よりも安く受験が可能なため、過去問だけでは不安という方は模擬試験も試してみましょう。

公式サイトでは検定試験におすすめの教材[11]も公開されており、購入することが可能です。

台湾華語検定(TOCFL)のまとめ

TOCFLは、台湾政府が認める公式の中国語検定です。

台湾への留学や就職・駐在を希望している方は、TOCFLの試験合格を目標に、中国語の学習をしてみましょう。

何から/どのように学び始めればいいかわからない、中級レベルではあるけどB2まで行きたい、といった方は台湾TALKで無料レッスンから体験してみてください。

 

脚注