中国語を始めようと思ったとき、「繁体字」と「簡体字」のどっちを勉強すればいいの?と迷う人は多いはず。結論からいうと、どっちを選ぶべきかは勉強する目的によって変わります。台湾の中国語では「繁体字」を、中国では「簡体字」を使います。この記事では、「繁体字」と「簡体字」の違いや使われる地域、それぞれのメリットをわかりやすく解説します。

どちらを勉強するべきか悩んでいる方の参考になれば幸いです。

 

繁体字と簡体字の違い

繁体字と簡体字にはどのような違いがあるのか見比べてみましょう。

 

簡体字・繁体字

「愛する」、「大好きな」という意味である「愛」という漢字です。
繁体字の「愛」は日本語と同じ字体であるのに対して、簡体字は「爱」となり、心辺とのまた辺が「友」に簡略化され、画数が少なくなっています。

なぜ同じ言語であるのに国や地域によって文字表記が変わっているのでしょうか。

「繁体字」は、日本でいう旧字体と類似しており、簡体字と比べて画数が多いことが特徴です。
清朝末期頃に使われていた漢字が元となっているとも言われており、古くから中国語の書き方として使われていたのが繁体字です。

一方「簡体字」は繁体字を簡略化して作られた文字です。
1949年に中華人民共和国が建国された後、国内に住む全ての人々が覚えやすく、書きやすい漢字に統一しようという「簡略化法案」が制定されました。
このため、中国大陸の管轄内である国々では、繁体字から簡体字が使われるようになりました[1]

 

参照:台湾華語と中国語、台湾語の違いは?

 

繁体字と簡体字の使用地域

繁体字は主に台湾、香港、マカオで使用されています。
簡体字は、中国大陸やシンガポールで使用されています。

1949年に中華人民共和国が建国されて以降、識字率向上のため中国では簡体字が使われるようになりました。この文字革命時に中国の管轄外であった台湾、香港、マカオの地域では簡体字に統一されることがなく、今でも繁体字が日常的に使われています。

シンガポールは中国建国以降の1965年に独立した国です。主な公用語は英語と中国語ですが、中国から大きな影響を受けていることから、簡体字が使われています。

 

繁体字を学ぶメリット

台湾では繁体字が好まれる

前述の通り、台湾では繁体字が公用の文字として使用されています。台湾では簡体字は中国大陸で使われる文字という認識が一般的で、政治的背景などから簡体字に対して抵抗感を持つ人も少なくありません

また、文字の形が大きく異なるものは、簡体字だと読めない人も一定数います。
そのため、ビジネスでもプライベートでも台湾人とやりとりをする際は、繁体字を使うことで、より良好なコミュニケーションが築けるでしょう。

 

漢字の意味や歴史を深く学べる

台湾では、漢字の成り立ちや象形文字・甲骨文字からの変遷を学ぶ授業があります。
繁体字は伝統的な字体であり、文化や歴史への理解を深めることができます。

覚えやすく、理解しやすい

繁体字は日本語の漢字と形がよく似ているため、意味を直感的に理解しやすく、記憶にも残りやすいという利点があります。
特に初学者にとっては、見慣れた漢字が多く含まれている繁体字の方が、学習のハードルが低く感じられるでしょう。

簡体字を学ぶメリット

教材が豊富で学びやすい

日本で販売されている中国語の教科書や参考書の多くは、ピンインと簡体字をベースに作られているため、学習環境が整っているのも魅力の一つです。独学でも始めやすく、レベルに合った教材が見つかりやすいのが特徴です。

参照:【台湾華語】語学センターで使われる主な教科書3つの特徴

 

資格試験の選択肢が多い

中国語学習の成果を試したい人にとって、簡体字を使った資格試験の多さも大きな利点です。
日本国内では、中国政府公認のHSK(漢語水平考試)や中国語検定など、簡体字とピンインに対応した試験が主流です。
一方で、台湾政府主催の『TOCFL』は受験会場や日程が限られており、ややハードルが高く感じる人もいます。

参照:台湾華語の検定試験TOCFLとは?

 

中国との交流・将来の進路に役立つ

将来、中国で働きたい・留学したい・中国から来た人と友達になりたい、という目標がある場合、中国の公用文字である簡体字を学んでおくことは大きなメリットになります。
中国本土やシンガポールなど、簡体字圏とのやりとりでは、現地で使われる文字で会話や文章を書けることが信頼感にもつながります

 

まとめ

中国語を習得したあと、台湾での生活や仕事を考えている場合は「繁体字」を、中国本土やシンガポールを中心に活動したい場合は「簡体字」を選ぶのがおすすめです。
どちらを先に学んだとしても、漢字に慣れ親しんでいる日本人にとっては、後からもう一方の字体を習得するのも難しくありません
実際、簡体字と繁体字のどちらにも、日本語で使われている共通の漢字が数多く含まれており、両方を使いこなせる日本人の学習者も多くいます。
そのため、まずは自分の目的や関心に合った字体を選び、無理なく学習を進めていくことが大切です。
台湾華語を学びたい方、繁体字にチャレンジしてみたい方は、
ぜひ台湾TALKのマンツーマンオンラインレッスンを体験してみてください。

 

脚注