台湾の大学附属語学センターでは《視聴華語》、《當代中文》、《時代華語》の3つの教科書が広く使用されています。日本国内で販売されている中国語教材と異なり、台湾の大学で作られたテキストのため、台湾華語やTOCFLの学習に適しています。
この記事では、それぞれのそれぞれの教材の特徴を詳しく紹介します。
台湾華語を学習したい方はぜひ、参考にしてください。
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台湾の大学附属語学センターで使用される主な教科書
台湾の語学センターでは《視聴華語》、《當代中文》、《時代華語》の3つの教材が広く使用されています。
それぞれの特徴は以下の通りです。
- 視聴華語(實用視聽華語)|全5冊
拼音(ピンイン)に加えて台湾独自の発音記号である注音(ボポモフォ)を使って中国語(台湾華語)を学ぶことができます。 - 當代中文|全6冊
台湾の文化や社会について学びながら語学力を伸ばすことができる教材です。上級レベルでは政治・経済・文化など幅広いテーマが扱われています。 - 時代華語|全7冊(現在4冊まで発売)
現代の台湾華語に特化し、実践的な表現を豊富に取り入れた教材です。TOCFL試験対策にも適しており、独学でも学習しやすいのが特徴です。
これかた教科書の特徴や、対応するTOCFLのレベルを紹介しています。TOCFLのレベルについては、以下の記事をご参照ください。

視聴華語|注音を使って基礎から学べる教科書
《視聴華語》は、1〜2冊目の本文すべてに台湾独自の発音記号である注音(ボポモフォ)が記載されているため、注音も学びたい人におすすめです。
3冊目以降は本文に注音の記載がありませんが、各単語ページには例題が掲載されており、ピンインと注音の両方が併記されています。
ただ、《視聴華語》は3冊の中では最初に出版された教科書であり、表現がやや古めかしく、難しい語彙が多いという特徴もあります。台湾人講師と語彙の意味や現代の表現を確認しながら学習を進めるのにおすすめのテキストです。
視聴華語|テキストの内容
- 第1冊(A1レベル):「聞く」「話す」「読む」「書く」の基礎力を養い、日常生活で簡単に会話ができるようになることを目指したものです。(単語491個・文法49個)
- 第2冊(A2レベル):より実践的な表現を学び、日常生活で正確なコミュニケーションができるようになります。(単語469個・文法41個)
- 第3冊(B1レベル):段落単位の文章を理解し、適切な表現を習得できます。(単語559個・文法141個)
- 第4冊(B2レベル):台湾の社会・文化・歴史・地理に関する内容が含まれています。(単語640個・文法121個)
- 第5冊(Cレベル):お祭り、教育、スポーツ、健康、レジャー、環境保護、干支、書道、茶道など、社会的に意義のあるテーマを扱っています。高い中国語レベルと論理的な表現を習得できます。(単語1004個・文法70個)
當代中文|初心者から上級者まで幅広い内容を学べる教科書
《當代中文》は、1冊目からピンインで中国語を学ぶ教科書です。
外国人が中国語を学ぶ際はローマ字を使用した発音記号のピンインを使うことがほとんどです。馴染みのあるローマ字で発音を学べるので初心者の日本人でも学びやすい構成です。
教科書の内容は、台湾の生活から風習、文化、社会、経済、政治など幅広いテーマとなっています。
2冊目以降は簡体字も併記されているため、台湾だけでなく中国や他の中華圏でも中国語を使いたいという方は、簡体字にも慣れておくと良いでしょう。
當代中文|テキストの内容
- 第1冊(A1レベル):日常会話を中心に、環境と食を通して台湾を紹介しています。会話で簡単に意思疎通ができるよう、社会的な基本言語を身につけます。本文全てにピンインが振ってあるため、ピンインを覚えることで漢字の読み方がわからなくても読むことができます。単語ページには注音の表記もありますが、例文の掲載はありません。
- 第2冊(A2レベル):結婚式やお祭りなど台湾の伝統文化に関する内容が増えます。本文にピンインの記載がなくなる代わりに、簡体字の表記が登場します。今後中国や他の中華圏でも積極的に中国語を使いたい、という方は、簡体字の表記に慣れておくことができるのでおすすめです。
- 第3・4冊(B1/B2レベル):難易度が上がり、対話文や文章が長くなり、書き言葉の要素も強化されます。場所、食べ物、習慣や風習、社会問題や台湾の歴史など、台湾人の文化的知識が追加されています。
- 第5・6冊(Cレベル):社会問題や経済・文化に関するエッセイ形式の文章が収録されており、ネイティブの書籍や雑誌レベルの内容になります。中華圏では、語彙が多い人ほど日常的に熟語を使いますが、5巻、6巻では熟語表現が多く収なっています。類義語の使い方や四字熟語の他など、母国語でも難しい表現が出てくる上級向けのテキストです。
時代華語|最新の台湾華語表現を学べる教科書
《時代華語》は、2019年と比較的最近出版された新しい教科書です。
そのため、現代の台湾人が普段から使う日常表現を豊富に収録しています。TOCFL試験の出題範囲8,000単語に対応しているため、試験対策にも活用できます。
QRコードで音源を試聴できるほか、簡体字も併記されており、今から中国語を学ぶのであればこの教科書がおすすめです。全巻7冊構成ですが、まだ4巻までしか出版されていないため、B2までの中級者におすすめです。
時代華語|テキストの内容
- 第1冊(A1レベル):繁体字と語順を学び、基礎会話力を習得できます。注音の記載はありませんが、本文にピンインと簡体字があるため、日本で中国語を少し学習した人にも台湾華語を学びやすい内容となっています。
- 第2冊(A2レベル):本文にはピンイン表記がなくなります。日常会話の表現を取り入れ、簡単な口頭アウトプットができるようになります。
- 第3冊(B1レベル):決まった会話表現を返すのではなく、自分の考えを整理しまとまった文章を作って話すことができるようになります。
- 第4冊(B2レベル):読解力を鍛え、文章を書くことができるようになります。内容も、台湾の文化から時事ネタなど多岐にわたります。TOFCLではB2レベルに相当し、グッと難しくなります。
1〜4冊目まで全てが本文→単語→文法の構成の繰り返しになっており、一つ前に出てきた文法や単語が繰り返し次の本文の文章に入っているため、繰り返し練習がしやすいテキストとなっています。
まとめ
独学でも中国語を使えるようになりたい、台湾人とコミュニケーションをとりたい、という方には《時代華語》のテキストがおすすめです。ただ現在4冊目までしか発売されていないので、TOCFLの上級Cレベルなどを勉強したい場合は、《當代中文》が良いでしょう。
また、台湾独自の発音記号である注音も同時に学びたい、という方には「視聴華語」がおすすめです。
自分に合った教材を選び、楽しく台湾華語の勉強を進めていきましょう。